『イエス・キリストの系図に隠された秘密』

              聖書箇所 マタイの福音書116節  メッセンジャー イザヤ木原真牧師

・系図に含まれた女性たち

選民意識の高かったユダヤ人は、系図を重要視していました。ふつう、系図では男性の名前が並べられるのですが、イエス・キリストの系図には4人もの女性の名前が出て来ます。タマル、ラハブ、ルツ、ウリヤの妻の4人です。中でも、ラハブとルツに至っては、彼女たちは異邦人なのです。イエス様の系図に異邦人の名が記されることは、驚くべきことです。

しかも、このラハブは旧約聖書には「遊女ラハブ」と記されています。名前を出すことはおろか、出来れば隠しておきたい「汚点」とも言えるような、遊女ラハブであるはずです。しかし、神様はそうは思われなかったのです。ラハブが持っていた「生きた信仰」と「家族への本当の愛」。この信仰と愛を持っていたラハブは、意図的に系図に加えられたのです。

・ウリヤの妻バテ・シェバ

ウリヤの妻によって、ダビデはソロモンを得ました。しかし、その前の子はすぐに失ってしまいます。それは、ダビデの罪のためでした。イスラエルの王であったダビデは、ウリヤという戦士の妻バテ・シェバに目を留めました。バテ・シェバを自分のものにしようと、ダビデは罪を重ねました。そしてウリヤを最も戦いの激しかった前線に送り、戦死させたのです。姦淫と殺人という大きな罪をダビデは犯したのです。ある時、ダビデのもとに預言者があらわれ、彼の罪を指摘しました。ダビデはすぐに、1週間断食をもって悔い改めました。しかし、その時にバテ・シェバが身ごもった子は死んでしまったのです。

神様は愛なる方で、憐れみ深い方です。しかし、決してあなどられるような方ではありません。義を持って正しく裁かれる神なのです。この系図にバテ・シェバとは書かれていません。「ウリヤの妻」と書かれているのです。

・遊女ラハブ

 イエス様の系図に「ラハブ」の名が記された理由。それは彼女の信仰と愛のゆえです。彼女のことはヨシュア記にあります。彼女はエリコという町の住民でした。ヨシュアはエリコの町を占領するために、二人の斥候(せっこう)をお送りました。彼らが宿泊したのが、このラハブの家でした。エリコの王は、斥候が送られてきたことを知り、敵の事を調べようとラハブのところへ遣いを送りました。しかし、ラハブは嘘をついてその遣いを追い払い、斥候をかくまいます。エリコの王の遣いが去った後、斥候たちにラハブはこう告白しました。「主がこの地をあなたがたに与えておられること、私たちはあなたがたのことで恐怖に襲われており、この地の住民もみな、あなたがたのことで震えおののいていることを、私は知っています。葦の海の水をからされたこと、エモリ人のふたりの王シホンとオグにされたこと、彼らを聖絶したことを聞いているからです。それを聞いたとき、あなたがたのために、心がしなえて、勇気がなくなってしまいました。あなたがたの神、主は、上は天、下は地において神であられるからです。」彼女は異邦人でありながら、イスラエルの神こそが真の神であることを告白したのです。
・家族への愛

 ラハブがイスラエルの神を真の神と告白した後、「確証を与えてほしい」と斥候に願いました。それは自分の家族とそれに属する者たちのいのちを救うというものでした。エリコが聖絶されることを知っていたからです。斥候はその願いを承諾しましたが、ひとつの条件を与えました。「いのちを救うかわりに、窓に赤い紐をかけ、その家族はラハブの家にいなければならない」というものでした。これは、ラハブに与えられた試練でした。彼女は遊女なのです。遊女であるラハブのことをエリコの人々はおろか、家族さえも遊女であるラハブを快く思っていなかったでしょう。いのちのためとは言え、そのラハブの家に家族を集めることは、彼女にとっては至難の事だったのです。

しかし、エリコが占領された時、彼女の家には家族全員が集まっていました。ラハブは家族のもとへ何度も何度も訪問したと思います。何回も何十回も説得に向かったことでしょう。そうしなければ救いがないからです。

私たちも同じです。私たちも何度も何度もいのちのために、救いのために家族のもとへ、愛する人のもとへ行かなければならないのです。今は宣教の時です。信仰を持って踏み出しましょう。イエス・キリストにしか救いはないのです。

(文責 松本俊也)

主の十字架クリスチャンセンター 神のしもべ長崎教会

2014810日 主日第2礼拝メッセージ