木原 純子
8人の子育て日記
5月14 日(水)
 長崎は坂の街である。永井博士で有名な長崎大学病院を、ふーふー登ってしばらく行った小高い丘に、うちのわんぱく坊主の小学校がある。
 
同じ兄弟なのに他の3人と違う学校に通っているのには、理由がある。小学校4年生の時に6ヶ月程登校を拒否し続けた。その結果、以前転向する前に通っていた小学校に再び舞い戻ることになったのである。

それでも登校初日は随分と嫌がって、泣きじゃくるまま力ずくで、父親とふたりがかりで車に乗せて連れて行った。その時の「教頭先生の腕」は一生忘れられない。なかなか校舎に入ることができず号泣している我が子の手をしっかりつかんで離さず、「お母さん、大丈夫ですから! お母さん、大丈夫ですから!」と叫んで、引きずるようにして連れて行ってくださった。「あ〜この先生が居てくださるなら大丈夫だ。」「これが、教育者の手だ!」とそう思った。あの日の感動は本当に忘れることができない。
 
それから毎日学校に喜んで通っている。以前の小学校では問題児に過ぎなかった我が子も、良い面を見つけて心から褒めてくださっている。今日はその子の授業参観だった。
 
保育園をさぼった4歳の娘と2歳のやんちゃ坊主を連れてあの坂を登る元気がない。何年かぶりで奮発してタクシーを拾った。料金メーターがいつ上がるかと、にらみつけながら。
 
思いっきり元気で笑顔いっぱいに手を挙げて発表している姿が見れて、タクシー代の元はとれた。参観中に2歳の子が小声で耳打ちして、「うんち」とささやいたので、そこで終わりになった。

帰りは下り坂。歩いて帰ろうと決心するも、途中自動販売機でジュースを買ってほしいとふたりにねだられ、コンクリートミキサー車が止まっているところでは、見学のため随分と長い間待たされた。最後はジュースで太鼓腹になった子を抱っこして、結局ふーふー言いながら帰り着いた。授業参観ってひと仕事。
授業参観