木原 純子
6月2日(月)
「い〜つくしみ ふかぁき〜 ♪」 長女がアルト笛を吹いている。
明日は学校で、笛の試験があるらしい。
この笛の音をバックに、一人の子がゾイドのテレビゲームを熱心にやっている。あまりに早くて一体何をやっているのかさっぱりわからない。
もう一人の子は夕食も食べずに、猛勉強をしている。 つい最近までテレビゲームにのめり込んでいた子だ。
ある時弟が大きな声で叫んだ。
「おかぁさん、大変! 〇〇ちゃんがゲームしながら、うんちしてるー!」
絶句! ゲームをしながらその場でうんちができる子なんて、世界中に何人いるだろうか。ふつうどんなに熱中したとしても、どんなに我慢していたとしても、もうだめだと思ったらぎりぎりのところでトイレに駆け込むだろうに。
この子は私の思考範囲の枠を超えている、この時からそう思うようになった。そして、「ここまでひとつの事に熱中できるなんて、この子は超大物なんだ!
」そう思えるようになった。
そして今やその超大物が、ついに勉強に熱中し始めたのだ。 これは まさに21世紀の奇跡だった。
しかし今まで使ったことのない頭、いきなり使い出したせいか、一息入れるとおかしくなる。私の平凡な頭ではとてもついて行けない。
そうだ! サルだ、サルが一匹混ざりこんだんだ。 今度はそう思うことにしている。
21世紀の奇跡