木原 純子
8人の子育て日記
6月3日(火)
 うちにもう一人の大物がいる。

 「朝よ〜」毎日何度も声をかける。起きてくる順番はほとんど決まっている。一発で起きる子はただひとりだけ。そして5分から10分感覚でひとりづつ眠そうに起きてくる。

 8時過ぎ。ほとんどの子がやっとこさっとこ学校に出かける。ここからが一仕事。大物登場である。ゆっくりと階段を下りてきて、ひとり丁寧に新聞を読む。ゆとりの朝である。確かに時差出勤というのは賢い。しかし学校はすでに、とうの昔に始まっている。

 一体どうするんだろう。学校の先生に尋ねてみると、見事に堂々と華々しく登場するらしい。遅刻なんて怖くてできなかった小心者の私には全く理解できない事ばかり。これがずっと続くので、両親とうとう呼び出された。こんな経験ってそうそう簡単にできるものじゃない。夜の7時近くまでかかってようやく帰れることになった時、思い出した。

「しまったぁ! 保育園に迎えに行くの、わすれたぁ!」
保育園は6時まで。こんなに遅くなったのは始めて。みんな帰ってしまってどんなに心細い思いをしている事だろう。

「ごめんね。ごめんね。」と祈りつつ、急いで、急いで、保育園に向かう。

あわてて駆け込んでみると、「きゃっきゃ、きゃっきゃ」と弾む声が聞こえる。ふたりの若いお兄ちゃん保父さんを独占して、とっても満足そうに遊んでた。怪我の功名。この日もまた神さまの守りを感じた。
重役出勤