木原 純子
8人の子育て日記
6月13日(金)
 カンボジアの孤児院にスタッフとして派遣されていたsさんが、熊本の八代教会と天草教会から招かれて、孤児院での体験を語ってくださることになった。それで、孤児院の仕事をしている夫に、私とチビ3人がついて行けることになった。

 長崎から熊本までは、雲仙をまじかに有明海をフェリーで渡ることになる。フェリー乗り場までの一本道、何度か警察官が立っていた。事故があったのだ。「けいさつ!」と私が叫ぶと、どさっと一斉にチビたち3人は身を伏せる。チャイルドシートをしていないので、隠れるより他はないのだ。8人乗りの車に3人ものチャイルドシートを付けたら残りの子が座れなくなってしまうので、ベスト(ちょっき)タイプのを購入したが長時間同じ姿勢で縛られていられるわけがない。結局「けいさつ!」と叫ぶごとに、思いっきり身を隠して「もういい? もういい?」と言いながら息をひそめて待っている。何だか情けない。こんなしつけしていいものだろうか?!

 それでも、さわやかな海。フェリーに乗って出発。デッキの柵は子供の頭がすっぽり入るくらい大きいので、手をしっかり握らせて始終ついている。

 熊本八代はsさんの生まれ故郷。調理師で一人暮らしだったs さんは、イエス様の愛に触れられて、人生が一変した。ふるさとを捨てて、カンボジアの孤児院で調理環境を整える任務を果たして帰ってこられたのだ。今日はその報告会。神様って素晴らしい。捨てたはずの故郷にいの一番に遣わしてくださった。緑のカンボジアの衣装がよくにあう。
「 チョムリ アップ スーウォ! 」とカンボジアの言葉で挨拶されて、話すsさんは生き生きといていた。

 そんなsさんの言葉をひとつも聞き逃すまいと、私は会場の一番後ろの扉に腕を挟んで(子供たちの様子を伺いながら)、しっかり聞いていた。ふと、会場の外で走り回っていた子供たちの声が聞こえない。
どこへ行ったんだろう? 探してみると、2部屋隣の研修室で会議をしている全く知らないおじちゃん、おばちゃんたちの話し合いの部屋を食い入るようにして覗き込んでいた。


熊本八代、天草へ