木原 純子
8人の子育て日記
6月26日(木)
 ランドセル事件も何とか過ぎ去った今日、今年1年生になった3女に今度は鍵盤ハーモニカが必要になった。私はピアニカといったが、子供たちは略して『ケンハモ』といっている。この年から『ケンハモ』の色がうすいグリーンに変わった。今まではみ〜んなこいブルーだった。だから家には青色の『ケンハモ』が二つも三つもごろごろ転がっている。

 3女はまた一人だけ違っていじめられたらどうしようと泣く。そして何人かの女の子たちが持っているピンク色の『ケンハモ』がほしいらしい。「う〜ん。どうしようかなぁ。」楽器店に行って見てみると、かわいらしいお菓子のようなピンクの『ケンハモ』がショーウインドゥに飾ってあった。「嫌々青いのを使わせて、音楽がきらいになったらなぁ。」「しかし、たくさんあるのに買うのもなぁ。」

 「そうだ! 色を塗ろう。」
 「ピンク色の色をぬるってできますか。」と楽器店の人に聞いたら笑われて相手にもされなかった。しかし、どうせあまってるんだ。だめでもともと、やってみよう。と言うことになって、okホームセンターに向かい、ピンク色のラッカースプレーを買う。

 学生時代、美術は好きだったが、ペンキは塗ったことがない。だいたいペンキで色を塗る母親なんているんだろうか。うまく塗れるだろうか。一抹の不安。

 明日「どうしてもいるんだー」という3女にせがまれて、夜の玄関先でピンクのスプレーを吹き付けた。「うひゃー、くさい。マジックのにおいがする。」と子供たちみんな見つめている。一人の子はお風呂上り。裸のまんま、バスタオルを引っ掛けて出てきた。鍵盤の部分には新聞紙を丁寧に貼り付けて、スプレーがかからないようにしてある。

 塗ってみると、意外に簡単! 意外にきれい。もっと凸凹になって、へんてこになると思ってた。これなら行けるかも。「よし! みんな、さわるなよ!」乾くまで30分と書いてある。子供たちを家の中にに追い立てて、ピンクになった『ケンハモ』を大事に大事にそっと見守った。

 と、数分後。信じたくないことが起こった。何と! サァ〜と雨が降ってきたのだ。「うううわぁ〜」きれいに仕上がるはずだった『ケンハモ』の上に、まだ乾きやらぬピンクの塗料の上に雨のあとが幾つも付いてしまった。そしてその後すぐに雨はやんだ。「えっ〜、何で〜」とさけぶも甲斐なし。とにかく感謝。すべてをご存知で、良きにしかなさらない神さまに感謝した。この後、ペンキ塗りはまだまだ続く。つゆの合間の晴れの日を待つのだ。



ピンクの鍵盤ハーモニカ