木原 純子
8人の子育て日記
8月8日(金)
 今年も「台風がやって来た!」と、実家の母がよく言っていた。と言っても本当の台風ではなく、孫たちが長崎からやって来ることをそう言っていたのだ。
 ところが今年は本当に台風がやってきた。今年は二人の小学生の女の子が岐阜の実家のおばあちゃんのところへ遊びに行っていたのだが、帰ってくる日に台風が直撃した。お子様一人旅で帰るはずの名古屋〜長崎便は、天候不良のためぎりぎりにならないと欠航かどうかが分からない。もし飛んだとしても、長崎上空の状態が悪ければ引き返したり、最寄の空港に着陸するという。そんな場合は、お子様一人旅の小学生は受け取れないということだった。

 その時点で長崎、福岡はこれから悪くなるという予想だった。随分迷って、翌日の9日の臨時便に変更した。その後、長崎は台風がそれてとってもいい天気になった。
 
 翌日、仕切りなおして、さあ、帰ろうかという日に今度は名古屋上空が真っ黒になってきた。欠航が決まった。

 長崎は原爆が落ちた日、9日が登校日になっている。爆心地に近い小学校なので、原爆の語り部の人がお話をしてくれたり、校内にある原爆で亡くなった子供たちの慰霊碑の前で供養をする行事がある。私たちは死者を拝むということはしない。この宇宙を作創られた神様に本当に真実な平和が訪れるように祈るようにしている。

 登校日には帰ってくることが出来なかった。帰って来る日は随分先に延ばされた。
台風10号