木原 純子
12月5日(金)
 
旧香港上海銀行コンサート
 長崎の出島の港のすぐそばに、かつての香港上海銀行の建物がそのままの姿で保存されている。昼間は多くの観光客が訪れるが、夜はコンサートなどの催しに貸し出されている。アンティークでとてもロマンティックな雰囲気。

 そんな、私たちにちょっと似つかわしくない所ではあったが、孤児院のためのチャリティコンサートが行われることになった。夫が今、世界中に孤児院を創る仕事に携わっているためだ。

 カンボジアでは、子どもが今でも市場で売られているそうだ。女の子は売春のために。男の子は売り物にもならなくてストリートチルドレンになるという。ブラジルでは日本の1,000円にも満たないお金のために、子どもが殺人を犯してしまう。
 そして、アフリカのザンビアという国は、何と平均寿命が33歳。エイズのためにここ10年で、10歳下がったそうだ。33歳以上の大人がほとんどいない訳だから、世界で最も孤児が多い国の一つだ。子どもが一人で生き延びて行くために、彼らは大変な状況に置かれている。やっと養父が見つかったと思うと、女児はその養父の性的な奴隷にさせられてしまうというのだ。

 今まで考えたこともなかったが、もし我が子がそのような状況に置かれたら…。と、思うと日本の子ども達がいかに保護された恵まれた環境の中にいるかがわかってくる。
 
 この日、長女は『アメージング・グレイス』と自ら作詞をした歌を歌い、小さな子ども達は教会で生まれた新しいゴスペルを力いっぱい歌った。この日もNCCの方が来われて、ニュース番組のための収録をして下さった。

 いつも家では思いっきりおしゃまに歌う4歳の4女は、恥ずかしくって日ごろ着たことのないきれいなレースの襟をさわってもじもじしていた。3歳の4男はマイクをもったままずっーと固まっていた。入学式や卒業式のような時に着る服を、出かけにあわててみんなに着せたものだから、靴がなくって、きれいなワンピースにぼろぼろの穴の開いたスニーカーを履いていた。
 
NCCのカメラマンの方に、思わずも「足は写さないで下さいね!」と言っていた。薄暗くてロマンティックな香港上海銀行、気づいた人はほとんどいなかった。