11月9日(火)
木原 純子
お嫁さん 1
 7人目の子が生まれた頃だろうか、我が家に62歳になるおばちゃん(ごめんなさい!)がやってきた。調理師さんで裁縫学校も出ている。そうじも短時間でびっくりするほどきれいにして下さる。このおばちゃんが帰った後は、さわやかな風が吹いている。
 料理も洗濯もそうじもして助けてくれる人がいたらどんなにいいだろう!
このおばちゃんは神様が木原家に下さったプレゼントだ。

 このおばちゃんにも二人の子どもがいた。でも、この子ども達を育ててあげることができなかった。おばちゃんはちっとも悪くないのに、自分が身を引く形で家を出た。結果的に、子ども達を捨てた事になってしまった。だから、自分のことをずっ−と責めていた。

 それからのおばちゃんの人生は、病院の調理場で働いたお金を全部カラオケとお酒につぎ込んだ。体は当然ボロボロになっていった。心臓も内臓も悪くなって、おなかを切った。足も腰もしびれが来て動けなくなった。でも、それでもいいと思った。早く死にたい、生きていたって仕方が無いって思ったからだ。
 そんな時、同僚のクリスチャンの調理師さんに出会って初めて教会に来た。
そして本当に生まれ変わってしまった。

 ある時、教会の新聞が目に飛び込んできた。飛び切り美しい笑顔で子ども達を抱いている女性の姿だった。カンボジアの孤児院で働いているスタッフの人だった。「あぁ、私もカンボジアに行きたい!!」と胸を躍らせた。でも、すぐに思った。「無理だ」って。こんなに年をとっている。しかも、体はボロボロなのだ。
 しかし、おばちゃんは教会に行き続けた。そうして2年、おばちゃんの体に変化が起こっていた。気がつくと病気の一つ一つが治っていて体はほとんど健康になっていたのだ。

 そうして、おばちゃんは一念発起、ついにカンボジアに行く日が来たのだ。そして何とカンボジアに行く途中のタイの空港で、きれいな虹が出た。
一緒にいったもうひとりのおばちゃんと抱きあって喜んだそうだ。 つづく