2007.6.11 

 

息子の不登校

 
長男は、中一の二学期から、突然学校に行かなくなった。
やがて昼ごろ起きるようになり、夕方に起きるようになった。死んだ魚のような目をして。
私は仕事で家にあまりいなかったが・・・。妻は毎日、その死んだ魚のような目をした長男を見ながら、心がきりきり痛んで苦しかったと思う。
叱っても、なだめても、機嫌をとってみても、逆に大声で怒鳴っても、何をしてもダメだった。
中二の三学期まで、彼は学校に行かなくなった。

それから、奇跡の物語が始まる。
遅刻しながら学校に行き始めたのだ。
友人の助け、先生の熱意、母親の愛情、しかし何にもまして、見えない神の手を私は感じずにはいられなかった。
中三になってみんなが受験という時、この子のいける学校はあるのだろうかと、真剣に妻と共に悩んだ。そして祈り始めた。いや正確に言えば、呻きのような叫びであった。
妻は真剣だった。必死だった。
「もうこのこが魚の腐ったような目をして起きてくるのを見たくありません。人の評価なんてどうでもいい。この子が三年間、目を輝かせていけるステージのある高校に導いてください。」
この時、母親の愛はすごいと、私は思った。
そして、奇跡が起こるのである。
県内でも難しいといわれている高校の最も難関な科に合格したのである。
12月の英語の点数は38点、ところが二月には78点になった。そのとき長男は、80点を取れなかったと不満を漏らし、とても悔しがっていた。
英語はどんな悪くても、平気な顔をしていた子が。

そして、今、その学校の部活で、高総体で優勝し、インタハイの優勝を目指して毎朝早くから学校に行く。

目が輝いている。それが何よりも嬉しい。
高総体で優勝した日に、めったにメールをして来ない長男からメールが入ってきた。
「優勝したばい。いろいろありがとう。」
メールを読んで、涙が出てきそうになった。
「神様。ありがとう。」思わずも心の中でそう言っていた。