日本二十六聖人を通して神が教えて下さったこと
1. 喜びにあふれていたこと |
2. 天国の確信と報い |
3. 十字架上で賛美すること |
4. 家族の中で育まれた信仰 |
5. 赦しの力 |
6. 悔い改めを大切にする心 |
7. 福音を語り続けること |
8. 人々の魂に対する情熱 |
9. 神にゆだねること |
10. 選択の時、神を選び切る力 |
11. 強いられた十字架の祝福 |
12. ひとつになれる素晴らしさ |
2. 天国の確信と報い
ルドビゴ茨木
26人の殉教者の中に3人の少年がいました。
その中でも最も最年少だったのがルドビゴ茨木です。
彼は12際のあまり利発ではないけれども、とてもいたいけな少年でした。
佐賀唐津の山本村に26人が着いたとき、彼らを引き渡されたのが寺沢半三郎でした。
彼の兄は寺沢広高といい、かつてパウロ三木から洗礼を受けたことのある人でした。
彼も洗礼を受けてはいませんでしたが、パウロ三木のことをとても尊敬していました。
兄の広高が挑戦出兵でいなかったため、半三郎が26人が殉教する西坂の丘まで彼らを連れて行き、そこで死刑を執行する責任者でした。
半三郎はルドビゴを見て思いました。
何とかして助けてあげたい。
幸いもらった名簿は24人でした。
途中で付き人の二人が殉教者に加わったので26人になっていました。
これなら一人くらいなら助けることができる。
そう思った半三郎は、ルドビゴに言いました。
「ルドビコ、お前の命はわしの手のひらの中にある。お前はわしの養子になれ。養子にしてやろう。そうすれば助かるのだ。何も死に急ぐことはない。」
そう言われたルドビゴは26人のリーダーのペテロバプチスタ神父のところに行き、聞きました。
「神父様、お役人様が、私の養子になれ。そうすれば助かる。と申しますが、どうすればよろしいでしょうか。」
ペテロバプチスタ神父は言いました。
「何も死に急ぐことはない。養子にしてもらいなさい。ただイエス・キリストへの信仰、これだけは失ってはいけません、捨ててはいけませんよ。」
ルドビゴは明るい元気な声で答えました。
「もちろんです。わかりました。」
そして半三郎のところに来て言いました。
「ありがとうございます。それでは養子にしていただきます。ただイエス・キリストへの信仰、これだけは捨てるわけにはいきませんので、この信仰だけは守らせてもらいます。」
半三郎は即座に言いました。
「それだけはダメだ。イエス・キリストへの信仰、それだけはダメだ。それさえ捨てれば後は何をしても構わん。その信仰だけは捨てなさい。」
ルドビゴは、微笑みながら天を指して言いました。
「それでは養子にしていただくことはお断りいたします。イエス・キリスト様とともにパライソに参ります。」
半三郎はなんとかしてルドビゴを助けたくて真剣にルドビゴに向かって言いました。
「ルドビゴ、よく考えるのじゃ、お前はまだ若い、まだ50も年は生きられる。わしの養子になれば、好きなだけうまいものが食えるぞ。いろんな服を着ておしゃれもできる。そして刀を差して、武士にもなれるぞ。あと50年は生きれるぞ」
ルドビゴは、この半三郎の目をしっかりと見つめて言いました。
「お役人様、キリストが下さる永遠の命を失って、この世で50年生きたところで何になりましょう。私はキリストとともに永遠のパライソなる天国に行きとうございます。あなたの方こそ、このイエス・キリストを信じて私と一緒にパライソなる天に参りましょう。」
まっすぐに自分を見つめるルドビゴの混じり気のない瞳に、半三郎は思わずも目をそらし何も答えられなくなりました。
自分を殺す権威を持っている役人に向かって、臆することなく、微笑みながら大胆に天国への招きを語った12歳のルドビゴ茨木少年。
殺される側の12歳の少年の心には喜びと平安、天国への希望がありました。
一方、殺す側の権威を持っていた役人には、当時の権力者太閤秀吉への恐れと自分の立場を守るための保身にしか生きれない深い後悔がありました。